茅葺き屋根に使うヨシの話

なんと美しい風景でしょうか。
代表の早川が、昨日(1/23・日)、風の沢ミュージアムの茅刈りワークショップに参加してきました。
場所は、宮城県栗原市の伊豆沼。

私も長男が5歳くらいの時に、別の河川敷での体験に連れていったことがありますが、小さな子ども連れだと目が話せないので、今回は、私は次男5歳とお留守番。
というのも、ヨシ(茅は、ヨシやススキの総称です)は想像よりもはるかに硬く、繊維質で、笹の葉のように手や顔を切りやすかったりして割と危ないんです(^^;)

さて、帰宅した夫の話を聞いて、私はついつい考えてしまいます。
ヨシ原や茅葺き屋根のある風景はとても美しく、未来に残したい風景ではあるけれど、どうやったら残るのだろうか、と。

ヨシは、使いたい年に刈り取ればいいというわけではありません。刈り取られなかったヨシは、翌年にはもろくなり質が落ちるので、屋根葺きには使えないそうです。
1度放置すると回復に2〜3年かかるので、刈りとるエリアを決めたら、需要の有無に関わらず毎年刈る必要があるわけです。

さらに、刈り取ったヨシの半分以上は選別ではじかれるので、1人で1日かかって刈り取れるヨシは、慣れている人で30束。これに対して、1軒の古民家の茅葺き屋根をふき替えるのに必要なヨシの量は、3,000〜4,000束。
ということは、材料をそろえるまでにかかる日数は、1人だと100日以上です!さらに、屋根の葺き替え作業にも何十日とかかるので、茅葺き屋根の維持には、とてつもなく膨大な手間や時間がかかるのです。
一度葺き替えた屋根は20年くらいは持つそうですが、とにかく大変な労力です。

では、昔はどうしていたかというと、「結(ゆい)」という互助的な共同労働の仕組みがありました。
貨幣経済が浸透し、暮らしと労働が切り分けて考えられるようになり、暮らす場所、働く場所、遊ぶ場所、稼ぐ場所などの選択肢はとても増えましたが、失われつつあるものも多くあります。

今の子ども達が大人になる頃には、職業の7割は私たちが知らない職業になるそうです。
社会がそれほど変わるのですから、「結(ゆい)」の延長線上にある新しい仕組みができて、美しい風景が残っていけばいいなと思います。
私は、美しい風景がたくさんある未来を選びたいと思っています。

2022年1月24日 masako

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