伝統木造建築を読み解く

文化財の保存・修理に携わってきた著者による、古代から近世までの寺院建築の技術的変遷と、その背景にある環境や技術革新などの要因を読み解いた本。日本の文化財保護の現状についてもよく分かる一冊。

【本書からの引用】
「劣化が早いという木造建築の弱点を、再生が可能な植物性の材料を使用し修理を繰り返すことで、半永久の生命を手にするという利点に変え、世界に比類のない建築の文化、木の文化を築いたのです。さらに定期的に修理を繰り返すことで、職人の技術も後継者に受け継がれ、発展しました。」(p.14)

「古代における建築は、単純明快で、構造的あるいは機能的な役割がそのままかたちになっていました。(中略)これが平安時代を通じて少しずつ変貌していきました。(中略)桔木などの裏方の材の出現は、その後の建築の運命を大きく変えました。ここにおいて、わが国の建築は、中国、朝鮮などの大陸建築とはまったく別の道を歩むことになります。」(p.83)


【書誌情報】
書 名:伝統木造建築を読み解く
著 者:村田健一 Murata Kenichi
発行所:株式会社学芸出版社 Gakugei Shuppan-Sha
出版年:2006

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