桂離宮を伊勢神宮と並ぶ日本美の粋として再発見したと評されるブルーノ・タウトの、その評を決定づけた一冊。表層を模倣しただけの“いかもの”を嫌い、伝統的な日本の文化や精神に根ざす建築に対する愛情と洞察に満ちた名著です。
なお、本書は、タウトがトルコで亡くなった翌年の1939年に初版が発行され、タウトが遺した幾つかの原稿を翻訳者の篠田英雄が編集したものです。
【本書からの引用】
「実際これ以上単純でしかも同時にこれ以上優雅であることは、まったく不可能である」(p.156)
「私はまえまえから、現代建築の発展はその最も重要な基礎を、機能に求めねばならぬと主張してきた。しかし「すべてすぐれた機能をもつものは、同時にその外観もまたすぐれている」という私の命題は、しばしば誤解された。つまりこの言葉が、功利的な有用性や機能にのみ局限されて解せられたからである。私は、桂離宮のこの旧い建築において、私が現代建築の重要な基礎として確立した理論が、間然することなく実証されていることを知った。」(p.158)
【書誌情報】
書 名:日本美の再発見 増補改訳版
著 者:ブルーノ・タウト Bruno Taut
訳 者:篠田英雄 Shinoda Hideo
発行所:株式会社岩波書店 Iwanami Shoten, Publishers
出版年:1962